
PMP®の試験では、プロジェクトの実行フェーズの途中で問題が発生し、その対処方法を問われる問題が多くありました。問題例は下記のとおりです。 プロジェクトの成果物を顧客に納品する段階で誤りを発見した修正するとスケジュールが2週間遅れるどうするか? (a)そのまま続ける (b)中止する (c)変更管理、変更要求を発行する、統合変更管理を行う (d)その他の解答 顧客のわがままでスケジュールやコストに影響のある要求を追加する場合は、明らかに変更管理を行うということはわかりますが、「規制の追加・変更」、「プロジェクトチームメンバーのミス」、「天変地異」などの原因や、そのタイミングによって対処の仕方は異なるはずです。 本来は、その組織のプロセス資産やプロジェクトごとでルールを決めるのだと思いますが、PMIが標準的なモデルとして考えている「ケース別の対処方法」を学ぶべき、と考えた次第です。 ついては、このような視点で勉強できる教材を教えてください。
掲載していただいた例題は、(d)その他の回答が何かわからないので何ともいえませんが、残りの3つの選択肢から選ぶとしたら(c)変更要求でいいと思います。PMBOK®Guide1の考え方ではすべての変更は記録し変更管理システム(変更手続き)に基づいて対処しますから、(a)何もしないでそのまま続けるという選択肢や、(b)いきなり中止するという選択肢よりは、(c)変更要求、統合変更管理のプロセスを行うのが妥当だと考えられます。
おっしゃるとおり「規制の追加・変更」や「プロジェクト・チームメンバーのミス」や「天変地異」によって対処は異なるはずです。その対処方法は契約書や計画書やリスク登録簿などに記載されているはずです。ご紹介いただいた問題では期限に間に合わないという状況ですが問題文には明確にされていませんので、下記のように考えてみてください。
それぞれの状況によって具体的な対処方法は違いますが、プロジェクトマネジメントとして変更があった時の対応は数多くありません。まずは、①それがプロジェクトにとって問題なのか書類を確認し、②次に具体的な対処法が書いてある書類を確認します。③具体的な対処法を書いてある書類のとおりに変更手続きにのっとり対処します。
①機能追加などのスコープ変更であれば、「スコープベースライン」(またはスコープベースラインに含まれる「スコープ記述書」や「WBS」など)で、スコープ内なのかスコープ外なのか確認します。
提示されている事例の問題ではスケジュールですから「スケジュールベースライン」(またはスケジュールを表現した「プロジェクトスケジュールなど」で、遅れても予備時間などを利用することで納期に間に合うかどうかを確認します。
②計画どおりに進まなかった場合の具体的な対応は「マネジメント計画書」や「リスク登録簿(個別リスクの場合)」または「リスク報告書(全体リスの場合)」に記載されています。(PMBOK®Guide V6. 11.5.3.2)また、納期など契約上の変更にかかわる変更については「合意書(契約書)」に記載されています。(PMBOK®Guide V6. 12.2.3.2)
③上記の書類で具体的な対処法を確認したら統合変更管理の手続き(変更管理システム)にのっとり、変更要求→変更承認→変更実行という手順で対応を実行します。
ですから、お問い合わせの問題文例では、もし、(d)その他の選択肢が、「契約書」を確認するとか、「ベースラインを確認する」とか、「マネジメント計画書を確認」するとか、「リスク登録簿」や「リスク報告書」を確認する(どのような時(=トリガー)にどのように変更するか(=リスク対応策)書いてあるので)とあれば、そちらの選択肢が正解の可能性もあります。
また、いきなり変更を行うのではなく、分析・確認後(上記②③)→変更要求(準備・提案)→承認→承認された変更のみ実行するという順序を意識してください。選択肢の表現が「変更する」になっていないか注意してくださいね。変更を実行するのは一番最後です。もっと前にすることが選択肢に挙がっている場合が多いと思いますよ。
PMI®はケース別対応を書いている本は出版していないと思います。
また、状況に応じた対応の一般の本があったとしてもPMBOK®Guideに準拠していないので試験対策用としてはお勧めしません。状況に応じた対応を個別に覚えるよりも、PMBOK®Gudeのどのプロセスの問題か推測してみてください。
それぞれのプロセスを見て何をするプロセスか言えるようになる。問題文を見てどのプロセスの問題か言えるようになる。問題集の回答から、そのプロセスの何を題材にしているかわかるようになる。このような勉強方法を心がけてください。
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