QC7つ道具(Quality Control 7tools)
QC(品質管理)は顧客に提供する商品およびサービスの品質を向上するための、企業の一連の活動体系1です。 ベル研究所のシューハートが1931年に著書『The Economic Control of Manufactured Product』2の中でQuality Contorolという考え方を提唱しました。
QC7つ道具
QC品質管理に利用できる代表的な7つの手法のことをQC7つ道具といい、PMBOK(R)Guide第5版では以下の7つの手法が紹介されています。
品質管理の考え方は、戦後の日本の高度成長期3に欧米諸国の製品をしのぐまで品質を向上させた製造業で開発された考え方や手法が取り入れられている場合も少なくありません。
———-特性要因図
特性要因図は、日本人の学者 石川馨が提唱した4ため石川ダイアグラムとよばれたり、形状から魚の骨図(フィッシュ・ボーン・ダイアグラム)とも呼ばれたりします。

特性要因図(c)curious-sdmlab.om
特性要因図5は、なぜなぜ分析6ともいわれる根本原因分析を行うための手法です。トヨタで開発された手法で、5Why分析ともいわれ、5回「なぜ」を追求するまでに真の原因がみつかるといわれています。
魚の頭の部分に分析するテーマを設定します。大きなカテゴリーを設定し、カテゴリーごとに魚の頭のテーマを「なぜ」→「なぜ」を深ぼりし、魚の骨に小骨を、さらに小骨をつけていく形で記載することにより、根本原因を探すデータ表現技法です。
例えば、上図では、「なぜ納期が延びるのか」というテーマに対して、
➡人事的な視点では、「なぜ納期が延びるのか→作業時間が足りないから」「なぜ時間が足りないのか→残業できないから」「なぜ残業できないのか→労働基準法の三六協定違反になるから」
➡営業的な視点では、「なぜ納期が延びるのか→製造チームに納期を確認せず営業チームが受注をしてしまうから」「なぜ製造に確認せず受注するのか→製造チームが納期を即答できないから」「なぜ納期を即答できないのか→納期を予想するためのデータが不足しているから」などと分析しています。
このような分析ができれば、例えば、「三六協定を見直す」「作業人数を増やす」などの改善案や、「納期予測に必要なデータを収集する」「過去データから納期予測する」などの改善案を導き出すことが容易になります。
製造業において特性要因図の大項目(大骨)として、Mを頭文字とした単語の4M7というカテゴリーがよく利用されます。
Man(人)、Machine(機械・設備)、Method(方法)、Material(材料)
これにMeasurement(検査・測定)を追加して5Mとしたり、Environment(環境)を追加して5M+1Eとする考え方もあります。
Man(人)、Machine(機械・設備)、Method(方法)、Material(材料)、Measurement(検査・測定)、Environment(環境)
事故や災害の要因分析として以下の4Mが使われることもあります。
Man(人)、Machine(機械、設備)、media(媒体、環境)、management(管理)
———-フローチャート

フローチャートの例
仕事や情報のフロー(流れ)を図示したものがフローチャートです。
SIPOCモデルと呼ばれる部品を組み合わせる方法も使われることがあります。
- S:サプライヤー(情報提供者)
- I:インプット(情報)
- P:プロセス(インプットを元に価値を作り出す業務)
- O:アウトプット(業務の結果)
- C:カスタマー(アウトプットを渡す相手)
カスタマーは顧客と翻訳されますが、この場合はプロセスの結果を渡す相手を全てカスタマーと呼びます。
例えば、内部顧客は業務の結果を渡す社内の相手、外部顧客は社外の相手をいいます。また、業務の結果を直接渡す相手である直接顧客、間接的な相手である間接顧客、最後にたどり着く相手である最終顧客などと言います。
社内であれ社外であれ、プロジェクトの成果を渡す相手をカスタマー(顧客)といいますが、同じプロジェクトの中でも、次のフェーズの担当者のことを前のフェーズの担当者のカスタマー(顧客)とする場合もあります。
品質改善の基準を設定する際のスコープの明確化に利用することもできます。
例えば、「受付業務のリードタイムを15分に短縮化」という業務品質改善を行うとしましょう。ある人は受付業務は顧客の来店から手続きを経て退店までを受付業務と考えているかもしれません。別の人は顧客からの申込書を受け取ってから入力をすませるまでを受付業務ととらえているかもしれません。
それでは共通の業務改善の認識ができませんから、具体的に業務フローを明示して「どのプロセスからどのプロセスまでのリードタイムを改善する」とスコープを明確にするわけです。
また、品質改善を行う際、業務やデータの流れを追って、発生した問題の要因がどのプロセスで埋め込まれているかを探し出すことにも利用できます。
———-チェックシート
———-パレート図
———-ヒストグラム
———-管理図
———-散布図
散布図は、縦軸、横軸に2項目の量や大きさ等を対応させ、データを点でプロットしたもの8。
データが対角線上に集まっているほど相関関係は強いといえます。ただし、散布図は2つの要素しか比較できません。なお、2つの要素の相関関係を表すものであり因果関係ではありません。
また、右上がりの場合は正の相関(比例)、右下がりの場合は負の相関(反比例)を表します。
新QC7つ道具
———-親和図
———-PDPC法
———-関連図
———-ツリー・ダイアグラム
———-マトリックス・ダイアグラム
———-優先順位マトリックス
———-ネットワーク図
- ウィキペディア(日本語)品質管理
- (D. Van Nostrand Company via インターネットアーカイブ)
- ウィキペディア(日本語)高度成長期
- 石川 馨『品質管理入門』QCテキスト・シリーズ 1、日科技連出版社、1956年
- ウィキペディア(日本語)特性要因図
- ウィキペディア(日本語)なぜなぜ分析
- ウィキペディア(日本語)4M
- 西岡康夫『数学チュートリアル やさしく語る 確率統計』オーム社、2013年。ISBN 9784274214073。20p.
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