品質コスト(QOC)と費用対効果
品質コスト(品質をよくするための費用)
品質コストは、作業や成果物の品質を向上させるための費用です。なるく少ない費用で成果が上がることを目指すのが品質マネジメントです。
適合コスト;品質基準に適合させるための費用
—–予防コスト;品質基準に適合できるよう事前に対処するためのコスト
(代表例;トレーニング(教育訓練)費用など)
—–検査コスト;品質基準に適合しているかチェックするための費用
(代表例;検査外注費用、検査機器購入費用など)
不適合コスト;品質基準にあわなかった場合にかかる費用
—–内部不良コスト;プロジェクト内(社内)で不良が見つかった場合のコスト
(代表例;手直し費用、スクラップ(破棄)費用など)
—–外部不良コスト;プロジェクト外(社外)に引渡してから不良が見つかった場合のコスト
(代表例;損害賠償費用、クレーム対応費用、返品費用など)
品質マネジメントでは、一般的に「検査より予防(Prevention over Inspection)」と言われるように、検査にコストをかけるよりも予防にコストをかける方が、結果的に費用対効果はよくなると考えられています。
品質をよくする努力(品質へ要求事項)から生まれる便益
- 手直しの減少
- 生産性の向上
- コストの低下
- ステークホルダーの満足度の向上
- 収益性の向上 PMBOK(R)Guide第6版による
費用便益分析(BCA;Benefit Cost Analysis)
フィジビリティ・スタディにおける費用便益分析
品質における費用対効果の他にも、プロジェクトの選択や、調達先の選択、リスク対応策の選択、変更アクションの選択など、様々なシーンで費用対効果が検討されます。
なお、便益は英語でベネフット(benefit)といいます。収益は収入、利益は儲け(収入と支出の差)ですが、便益の場合は、収入増加や支出減少などの財務効果だけでなく満足度向上やイメージアップなど非財務効果も含みます。
それらを含めた費用対効果を検討する分析を費用便益分析といいます。略語はBCA(Bebefit Cost Analysys)ですが、
コストを数値計算する場合は、収入(収益・回収)÷支出(費用)で計算し、その結果を費用便益比率(BCR:Benefit Cost Racio)といいます。
品質マネジメントにおける費用便益分析
成果物や作業の品質基準(品質尺度)を設定するにあたって、費用対効果を検討する必要があります。
例えば、セキュリティ品質について考えてみましょう。セキュリティは、強化すればするほどコストがかかります。もちろん、セキュリティ・レベルは高い方が、より安心なわけですが、プロジェクトの特質によって必要以上にセキュリティに費用をかけなくてもよいケースもあるかもしれません。
国家機密を扱うプロジェクトと、週末の友人同士の誕生日パーティのプロジェクトでは、必要なセキュリティ・レベルが違います。
対象となるプロジェクトにどれだけの費用をかけて品質レベルを担保するか、費用効果を考えながら品質の基準を設定するのです。
PMBOK(R)Guideの「8.1品質マネジメントの計画」プロセスのツールと技法に費用便益分析および品質コストが挙げられているのは、そのためです。
このプロセスのアウトプットに品質尺度(作業や成果物の品質基準)があります。
フィジビリティ・スタディにおける費用便益分析
品質における費用対効果の他にも、プロジェクトの選択や、調達先の選択、リスク対応策の選択、変更アクションの選択など、様々なシーンで費用対効果が検討されます。
なお、便益は英語でベネフット(benefit)といいます。収益は収入、利益は儲け(収入と支出の差)ですが、便益の場合は、収入増加や支出減少などの財務効果だけでなく満足度向上やイメージアップなど非財務効果も含みます。それらを含めた費用対効果を検討する分析を費用便益分析といいます。
品質尺度(品質の基準)
成果物や作業の品質基準(measure)。検査機器に測定できる数値基準の他、顧客満足度など主観的な測定基準も含みます。
品質尺度の例
- 時間通りに完了したタスクの割合
- CPIが測定したコスト効率
- 欠陥率、故障率
- 1日当たりの欠陥数
- 月あたりの合計ダウンタイム
- コード行あたりエラー、バグの発生件数
- 顧客満足度
- テスト網羅率(テスト計画がカバーする要求網羅率の割合)
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