スコープ妥当性確認と品質コントロール
スコープ妥当性確認は「受け入れ検査」
PMBOK(R)EnglishVirsionによると、
「スコープ妥当性確認」は“Validate scope is the process of formalizing acceptance of completed project deliverables”と記載されています。
直訳すると「完了したプロジェクト引渡成果物の受諾を公式化するプロセス」となります。つまり、受け入れ相手に公式に成果物にオッケーを出してもらうプロセスと言えます。
ところがPMBOK(R)日本語版では、
「スコープ妥当性確認は、完成したプロジェクトの成果物を公式に受け入れるプロセスである。」と翻訳されており、この日本語だけを読むと受け入れ相手ではなく、プロジェクト側が成果物を受け入れる意味に勘違いをしてしまうかもしれません。注意が必要です。
品質コントロールは「プロジェクト内(社内)検査」
「品質コントロール」は、“成果物と作業が要求事項に合致しているか要求を満たしている”かを確認します。プロジェクトの作業品質についても確認しますが、スコープ妥当性確認との対比で言えば、成果物が設定した品質要求基準に合っているかどうか確認するプロジェクト内(社内)での確認といえます。
目標の違い
「品質コントロール」は基準への合致を目標にしているのに対して、「スコーブ妥当性確認」は、受け入れを目標としています。つまり、すべての要求事項を満たさなくても受け入れる場合があるのです。それは、多少、要求不満足の部分があっても、もっと重要な要求がコスト・パフォーマンスよく満たされていれる場合です。PMBOK(R)Guideの表現を借りれば、ソリューション要求の非機能要求を満たさない項目があってもビジネス要求(業務要件とよぶ業界もあります)を満たしていれば、受け入れる可能なのです。
基準への合致は英語でverificationといい、検証と翻訳されることが多いいですが、
上位要求への合致は英語でvalidationといい、妥当性確認と翻訳されます。
成果物が出来上がってから2つの検査を経て引き渡し
出来上がった成果物をプロジェクト側と受け入れ側で検査(チェック)し、引き渡す流れは以下のようになります。

(c)curious-sdmlab.com
「4.3プロジェクト作業の指揮マネジメント」プロセスで、計画にのっとり作業を進めていくと成果物が出来上がります。成果物は原語は“delivarables”ですが、直訳するとデリバー(お届け)するものという意味になります。一般用語では、最終成果物と区別するために、引き渡し成果物とか要素成果物という翻訳を使う場合もあります。
「8.3品質のコントロール」プロセスで、引き渡すための成果物が、品質要求の基準に合っているか検査(チェック)します。基準と合致しているか確認することを英語ではverificationといい、一般に「検証」と翻訳されます。この検査inaspectionは「ウォークスルー」「監査」「出荷前確認」「総合テスト」「最終チェック」など様々な業界用語で呼ばれます。検査が済んだ成果物(のステイタス)のことを検証済み成果物といいます。
一般に、プロジェクト内(社内)検査の後に受入検査を行うように、PMBOK(R)GuideにおけるプロセスのINPUTやOUTPUTを追っていけば、先に「品質コントロール」プロセスを行った後「スコープ妥当性確認」プロセスを行うことがわかります、(上図)
「5.5スコープの妥当性確認」プロセスで、プロジェクト内(社内)検査に合格した検証済み成果物を、今度は受入れ側に検査(チェック)してもらいます。し(てもらい)、受入承認をもらいます。受け入れ側に全部任せて検査をしてもらうこともあれば、双方で一緒に検査することもあります。受入検査に合格した成果物(のステイタス)のことを受入れ済み成果物といいます。
「4.7プロジェクトやフェーズの終結」プロセスで、次のフェーズや顧客に、合格した受入れ済み成果物を移管します。最終フェーズでは、移管先は社内や社外の顧客ですが、途中フェーズでは、次のフェーズに引き渡しをすることになります。この終結プロセスは、プロジェクトの最後だけでなくフェーズの最後にも行われることに留意してください。
コメント